とろ~りなめらかなカスタードクリームを作るコツ 失敗の原因を徹底解説!

お菓子基礎知識

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エクレア、シュークリーム、タルトなどに欠かせないアイテム、

そう、カスタードクリーム

生クリームにはない濃厚さとコクで、口いっぱいに頬張ると幸せな気持ちになりますよね~♪

そんなカスタードクリーム、いろいろなレシピがあり、中にはレンジでお手軽に作れるものもよく目にしますね。

レンジも良いけど、卵の火入れ加減の見極めが難しかったり、何度もレンジから出し入れするのが手間なんだよね~

お手軽な一方で、あんこちゃんのように意外と難しい電子レンジに苦戦する方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、コツさえつかめば意外と簡単な正統派の鍋炊ききカスタードに挑戦してみましょう!

お鍋で一気に炊き上げるカスタードクリームは

とても香り豊かで、非常に滑らか。

作る工程もとても楽しいですよ♪

ただ、ダマになったり、どれくらい炊けば分からない、焦げてしまった・・など、

お鍋ならではの悩みもよく見かけます。

とろ~りなめらかなカスタードクリームをマスターしたい!

それでは一緒にカスタード作りの秘密を紐解きながら、失敗の理由を突き止めちゃいましょう!

基本のカスタードクリームの作り方

  • 牛乳 300ml
  • 卵黄 3個(常温)
  • グラニュー糖 80g
  • 薄力粉 25g
  • バニラエッセンス 数滴(バニラビーンズなら10㎝ほど)
  • バター 10g

1.小鍋に牛乳とグラニュー糖10gを入れ、沸騰直前まで温める。(バニラビーンズはこの時点で、種をしごき出し加える)

※グラニュー糖を入れることで鍋底に牛乳がこびりつかなくなります

2.ボウルに卵黄を入れ、ホイッパーで軽く溶きほぐし、グラニュー糖70gを入れすぐに混ぜる。白っぽくもったりなるまでしっかり混ぜる。★Point①

3.ふるった薄力粉を入れて混ぜる。

4.粉気がなくなったら、1の牛乳を半分入れてよく混ぜる。残りの半分も混ぜ合わせる。

5. 4を鍋に全部戻し、中強火にする。ホイッパーで絶えず混ぜながらとろみがつくまで。★Point②

6.卵に火が入って少し生地が固くなれば、中弱火(弱すぎない弱火)に落とし、ホイッパーからゴムベラ(耐熱がなければ木べらでも)に持ち替え、焦げないよう手早く混ぜ続ける。

7.もったりから急にサラッと軽くなる瞬間がある。そこからさらに混ぜ、クリームにつやを出す。ヘラで持ち上げるとサーっと流れ落ちるように滑らかになれば炊きあがり!

8.火を止め、バターを加え、混ぜ溶かす。(ゴムベラで鍋の周りもしっかりこそぐ)

9.濾し器でこしてボウルやバットに出し、下に氷水を当てて冷やす。

 ※傷みやすいので早く冷まして冷蔵庫に入れるため

10.しっかり粗熱が取れたら、ラップをぴっちりかけ冷蔵庫で冷やして完成!使う時は固くなっているのでゴムベラでよく混ぜてから使用する。 

※バットからつるんときれいに剥がれたらうまく加熱できている証拠!

Point① 卵黄は白っぽくなるまでしっかり混ぜる 

カスタードクリームを作る時は、まず卵黄をボウルに入れて混ぜるのですが、

この時白っぽくもったりとなるまで混ぜることが大事です。

えーめんどくさい~。。ただ溶きほぐせばいいんじゃないの~?

意外と忘れがちなこの作業ですが、嫌~な失敗を防ぐためにはとても大事。

なぜ白っぽくなるまで泡立てるかと言うと、その理由は、

  • 温めた牛乳を入れる際に卵が凝固しないようにするため
  • ダマになるのを防ぐため

です。卵は熱を加えると固まりますが、

卵白は60℃で固まり始め、卵黄は65℃で固まり始めます。

沸騰直前まで温めた牛乳をそのまま加えてしまうと、

泡立てていない卵はすぐに火が入り、ぼそぼその固まりが混じってしまいます。

しかし、しっかりと泡立てて空気を含ませた卵は通常よりも固まりにくくなり、

ダマもできにくくなるのです。

じゃあ牛乳を温めずに入れちゃえばいいんじゃないの?

牛乳を最初に温めて加えるのは、効率よく卵と粉に火を加えるためです。

卵は約60℃、粉は約80℃から糊化(トロっとした状態になること)が始まるため、

低い温度から温めていくと卵が先に固まり、

粉には入っていないという不均一な状態になり、口当たりが悪くなってしまいます。

そのため、沸騰直前まで温めた牛乳を泡立てた卵に

少しずつ入れ、均一に熱を通すことが必要になるのです。

Point② 中火から弱火&手は絶えずかき混ぜて

卵と砂糖、牛乳を合わせたら、鍋に戻していよいよ炊きの作業。

前章で書いたように、粉まで均一に手早く火を入れることがなめらかに仕上げるコツなので、

最初は中火で一気に火を入れます。

手にはホイッパー。とろみがつくまで軽く混ぜ続けましょう。

クリームがサラサラからトロトロへと粘度に変化が出てきたら、

火を中弱火にしてゴムベラ(耐熱性)に持ち替えます。

中弱火とは、弱すぎない弱火という感じ。焦る人は火を止めてしまってもOK!

ここからしばらく中弱火で炊き続けるのですが、気を付けるべき大事なことは、

  • ヘラの混ぜ方
  • 炊きあがりの状態の見極め

です。

ヘラの混ぜ方

ヘラの先の角を、鍋の底の隅に沿わせながらぐるっと生地をこそぎ取る動きをまんべんなく手早くやりましょう。

そして同時に真ん中の底もこそぎます。

左半周の隅っこ→右半周の隅っこ→真ん中底 

の順番で絶えず生地を鍋肌からはがすように動かし続けます。

よくある失敗の一つである焦げ付きは、うまく混ぜ切れていないことが原因です。

炊きあがりの状態の見極め

カスタードクリームは、火を入れるともったりと弾力が出ますが、

上記の方法で絶えずひたすら混ぜ続けていると、

サラッと軽くなる瞬間が訪れます。(沸騰して2~3分ほどで)

それが、全体に火が入った証拠です。

ヘラですくうとボテッと落ちていたものが、

火が入るとサーっと途切れることなく流れ落ちるようになります。

これは糊化したでんぷんの粒子が壊れることで起こる「ブレークダウン現象」と呼ばれています。

ブレークダウン現象か…!それなら私でも見極められるかも!

粘度だけでなく、表面のツヤ(透明感)が出てくるのも目安のひとつです。

よくあるカスタードクリームの失敗とその原因は? 

焦げてしまった

カスタードクリームが焦げてしまう原因は、

  • 火が強すぎる
  • うまく混ぜられていない

ということが挙げられます。

カスタードクリームレシピの中には、

「卵と粉にしっかり火を入れる必要があるため中火もしくは強火で一気に炊き上げましょう」

と書かれているものもあると思います。

実際それは正しいですし、パティシエさんなどはそのやり方で説明される方がほとんどです。

しかし、家庭で作る少量であれば、弱火~中火で十分火は入ります

むしろ、プロのように手早く効率的に混ぜることは難しいため、

火が強いと鍋底が焦げ付いてしまう可能性が高くなりますし、気持ちも焦ってしまうと思います。

火を入れて少し固まってきたら、慌てずに弱火にしたり、

時には一旦火を止めてムラなく混ぜてから再び火にかけるというやり方でも大丈夫です。

また、ヘラの混ぜ方も、しっかり鍋の隅と鍋底をこそぐことを意識して混ぜましょう!

ダマができる

ダマができる要因は、

  • 卵黄と砂糖がよく混ざりきれていなかった
  • 小麦粉が混ざりきれていなかった
  • 加熱不足(粉に火が通っていない)
  • 卵に加える時の牛乳の温度が低い

しっかり混ぜること、しっかり加熱することがポイントとなってきます。

卵黄と砂糖は白っぽくなるまでしっかり混ぜる

薄力粉はふるっておく

牛乳は沸騰直前まで温める

といったちょっとした注意点を丁寧に守ることが失敗を防ぐことにつながります。

ただ、炊きあがりの多少のダマは濾すことで無くなり滑らかになるので、

あまり神経質になる必要はありませんよ♪

出来上がりがネバネバしている、寒天のように固い

出来上がりのクリームの粘り気が強く、重ためになる原因は、

加熱が足りず、十分に火が入っていないことが考えられます。

加熱不足のクリームがどういう状態かというと、

小麦粉の中のデンプンを加熱していくと、

水の分子が入りこんで膨張して、

大きくなったでんぷん粒同士の摩擦が生じて動きにくくなっていきます。

これが強い粘りの正体。

先ほど登場した「ブレークダウン現象」の手前の状態です。

カスタードクリームは冷やすとより締まって固くなるので、

火を入れる段階でよくコシを切っておく必要があります。

サラッと流れるように軽くなめらかになるまでしっかり火を通すことを意識しましょう!

カスタードクリームのまとめ

  • 卵黄と砂糖は白っぽくなるまでしっかり混ぜる
  • 牛乳は沸騰直前まで温めて、2~3回に分けて加える
  • 始めは中火、固くなってきたら弱火に落としてじっくり加熱
  • 手は絶えずかき混ぜ続けて
  • クリームがサラッと軽くなる瞬間を見極める

これらの注意点を押さえて、ぜひ美味しいカスタードクリーム作りに挑戦してみてください♪♪

よし!自家製カスタードクリームをたーっぷり入れたシュークリーム作っちゃおー!!

参考著書

『新版お菓子「こつ」の科学』 河田昌子著 柴田書店

『科学でわかるお菓子の「なぜ?」』中山弘典 木村万紀子共著 柴田書店

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